個人質問②地方創生と公民連携

本日行われました個人質問② 地方創生と公民連携 〇地方創生について〇地域経済分析について〇産業振興について〇公的不動産の有効活用について の概要です

 

1-1
地方創生と公民連携についてお尋ねします。

先般就任された地方創生担当大臣の記者会見を見ておりますと、地方創生とは地方の平均所得を上げることだ、と答えておられました。今回はこの地方創生について何点かお聞きしていきます。
まず、わが市では昨年9月より地方創生先行型交付金事業として「空港就航都市等における農産物・水産物等を活用した魅力ある飲食店等開拓・育成関連事業」を2000万円程度かけて行いました。3月の総務常任委員会の質疑では、それまで仲介した売り上げは3万円程度にとどまったとのご答弁をいただいておりますが、今年度に入って始められた継続事業におけるこれまでの売り上げ状況、今後の事業の売り上げ想定額を含めた自立可能性の見通しについても教えてください。

(答弁)

ご質問の事業は、本年度は、一億総活躍社会実現のための自治体間連携による就労支援事業とし、重要業績評価指標(KPI)を就労者数に設定し、地方創生推進交付金の採択を受け行っています。
本事業では、若者や就労困難者等の1次産業への就労支援を行うとともに、1次産業での受入れの維持・拡大を図るために生産物の販売を支援する必要があることから、本市を含む都市部での販路開拓を就労困難者の就労支援の一環として行うものです。
本年度の売上状況ですが、国の事業採択が8月になったことから、販路開拓及び商品供給先との関係性構築を中心に取り組んだため、販売は、商品PRを目的とした試験的なものであり、1ヵ月平均約36,0 0 0円となっております。なお、現在は既に高知県土佐町や島根県隠岐の島町において商品供給先との関係性を構築するとともに、20店舗以上の販売先を確保しております。今後は、販売拠点の開設などを行い、本格的な販売を行うことにより事業の安定化を図り、委託期間終了後も販路及び就労困難者の就労支援が継続できるよう取り組んでまいります

1-2 意見
地方創生推進交付金の決定時期などの要因があるとはいえ、お試しセットの販売で月3万円程度しか売り上げ仲介しかなく、その間も人件費や経費に税金が消えていくというのはまずいんじゃないかと思うわけです。現在開拓済みの20社(そのうちの数社は受託企業関連の飲食店だとは思いますが)が月間いくら購入いただいて、それで受託事業者が手数料としてどの程度の利益を得ることができるのか分かりませんが、地域の所得の向上を目指す地方創生の取り組みの一環であるこの事業の経営状況については引き続き注視をしていきたいと思います。
2-1 次に地方創生においては地域版総合戦略立案を求められ、わが市では「まち・ひと・しごと総合戦略」を策定しましたが、その際、国の開発した地域経済分析システム「RESAS」の活用が想定されていました。このRESASのツールの一つに地域経済循環図がありますが、この図の考え方のポイントと豊中市の地域経済循環図の特徴について、特に生産面については域外を主たる販売市場とした産業である「基盤産業」と域内を主たる販売市場としている産業である「非基盤産業」の違いを念頭にお答えください。

(答弁)

地域経済循環図に関する本市の特徴ですが、生産については、本市は、卸売・小売業や塾・医療介護といったサービス業などの第3次産業が生産全体の8割強を占めています。
地方創生でいう「稼ぐ力」のある基盤産業をみると、第3次産業が中心となっています。
雇用者等の所得については、本市は住宅都市であることから、地域外に勤務して給料等を得る割合が高くなっています。
また、消費は地域外でなされる額が多く、投資は地域外から流入しています。
この状況は本市だけではなく、大阪の経済圏全体にも共通した特徴と言えます。

2-2 意見
ご答弁のとおり地域経済循環図の分配面については、わが市は地域外に勤務して給与等を得る割合が高い、いわば出稼ぎ経済的な側面があるといえます。また支出の観点からいうと民間消費の市外への流出が多く、流出率において1741市町村中1391番という低位置になっています。
3-1
それではこの地域経済循環の望ましい姿とはどのようなものか、お答えください。また豊中市に当てはめた場合、その望ましい姿にしていこうと思えば、生産・分配・支出の3側面においてどのような取り組みが必要でしょうか。

(答弁)

地域経済循環では、一般的には、地域内の企業の生産の成果が、労働者や企業の所得として分配され、地域内での消費や投資として支出されて、再び地域内企業に還流するのが望ましいとされていますが、個別の地域特性を踏まえた検討・対策が必要だと考えております。
本市においては、市内の企業が事業継続できるよう、引き続き支援していくとともに、新たに民間投資を呼び込むことも重要であります。
また、分配の面では、一人当たりの所得を高めていくことや、支出面では、地域内への支出、投資を増やせるよう、地域の活性化や魅力を高めていくことが地方創生への成果につながるものと考えております。
3-2 意見
望ましい地域経済循環については、ご答弁いただいたことに加えて、地域外からの売り上げを得ることが重要となります。言い換えれば非基盤産業だけでは地域経済循環は縮小していくことになるので基盤産業の強化が重要になってきます。
4-1
さて生産の側面では、基盤産業と非基盤産業の区分からは、近時わが市において増えている塾や医療介護は基本的には非基盤産業です。わが市のような都会において基盤産業となりうるものにはどのようなものがあるでしょうか。
次に支出面ではまず、地域経済循環図によると地域外への民間消費額の流出は1859億円ですが、単純に市の人口で除すると年間一人50万円弱になると思います。家計消費状況を分析した場合、市外での消費から、市内への消費に置き換えられる可能性を持つ消費にはどのようなものがあるのでしょうか。また先ほどの答弁で地域内への支出を増やせるよう地域の活性化や魅力を高めるということですが具体的にはどういうことでしょうか。

(答弁)

まず、基盤産業についてでありますが、本市においては、運輸業をはじめ、金融、飲食サービス業、製造業などが考えられます。
次に、市外での消費から市内への消費に置き換えられる可能性を持つ消費につきましては、市外への支出の内訳など必要なデータが不足しており、分析ができない状況であります。
最後に、地域の活性化や魅力を高めるための具体的取組みについてでありますが、千里中央地区や南部地域などの拠点整備をはじめ、良好な住環境の継承や空港を活かしたまちづくりなどの都市の魅力向上、企業立地の促進や起業とその後の事業継続の促進などの産業振興と働く場づくりに取り組んでまいります。

4-2意見
所得の面では、先述の通り、わが市では市外から給与所得を持ち帰ってくる出稼ぎ都市という性質を持つので、勤労子育て世代が重視する教育環境、若い世代の感性をとらえたクオリティーの高い生活環境を構築していくことが必要であります。
また民間消費の市外流出分を市内での消費に置き換えることの可能性がある分野はデータが不足しており分析ができない状況にあるということですがが、これがわからないと、経済循環図における支出面で地域内への支出を増やすための地域活性化の取り組みの的を絞ることができません。今回はじめて質問させていただくことなので、いきなり答えを求めるのは時間的に酷な面もあったかと思いますが、たとえば担当職員さんのご家庭での支出などを分析し、仮説を立ててみることなどから始めることも出来ると思います。これを機にぜひ分析を深めていただいて、的を絞った産業政策に結びつけていただきたいと思います。
5-1
さて、これまでは一般人でも利用することのできるリーサスの地域経済循環図をもとに議論をしてきましたが、リーサスには国及び地方公共団体のみが利用できる限定メニューがあります。この限定メニューを活用された結果、わが市の産業につきどのようなことが読み取れるのか、地域中核企業の抽出などを例にお答えください。そして、産業振興の施策である中小企業チャレンジ促進プラン見直しにおいてどのように活かすのかを教えてください。

(答弁)

当市の地域経済を支えている、いわゆる「地域中核企業」の特徴としましては、市域内からの仕入や市域外への販売の状況を見てみますと、市域外への販売規模が大きい企業が多いことが見て取れます。このことから、時代にあった、新しい技術や商品にかかる研究・開発力を基本に、全国的なネットワークをもった事業を展開されていると認識しているところです。
このため、これら中核企業の特徴をさらに分析し、その強みの要因を明らかにしながら、中小企業チャレンジ促進プランの見直し後の展開に活かしてまいります。

5-2 意見
 ご答弁からは、地域中核企業の候補における強みの要因の把握はこれからだということだと思います。我々はリーサスの限定メニューのデータを見ることは出来ないわけですから、市の担当者の方に今後はしっかりと分析をしていただいて的を絞った産業政策に生かしていただければと思います。
6-1
さてこれまでの地域経済循環における議論からはわが市における基盤産業すなわち域外からお金を取り込みうるものの一例として飲食サービス業、製造業などがあります。飲食業は非基盤産業のようにも思えますが、市外からわざわざ食べにくるような魅力ある飲食店は市域外からお金をもたらす立派な基盤産業になるのです。また商業分野では構造改革により卸・小売の弱体化がわが市でも見られており、これからの時代はむしろ小規模でも個性・魅力のある製造小売業態に変化していく、またネットの活用等により域外から売り上げを稼ぐことによる基盤産業化が求められます。このような基盤産業としての飲食や製造小売業は必ずしも大資本だけが勝つ分野でなく小規模事業者でも若い感性と、工夫で勝負できる分野になります。このような方に市内で創業してもらう、また市外で活躍されておられる経営者の方に豊中で出店していただくために市として取り組めることにはどのようなことがあるとお考えでしょうか。

(答弁)

創業支援等につきましては、現在、豊中商工会議所、日本政策金融公庫、市が連携して実施している「とよなか創業ナビ」におきまして、創業に関する資金繰りや事業計画作成の相談を、市外の方も含めまして個別に対応するとともに、協力を得ている金融機関のネットワークを活用した情報提供に努めているところでございます。
今年度につきましては、11月に市内外の方を対象に、創業や 出店を促すセミナを予定しております。

6-2 意見
昨日の議論によると市内企業訪問を現在行っておられるということですが、基盤産業を市内に多く育てるという意味では、市外で活躍されている方に豊中へ進出をしてもらうための努力も必要ですのでそういった取り組みもより強化していただきますよう要望いたします。
7-1
 さて、基盤産業育成の見地、そして消費の域外流出を防ぐという観点からもう少しお尋ねします。先日国交省から基準地価が発表されましたが、豊中市内は家賃が高いことも多いです。また市のとよなか起業・チャレンジセンターはシェアオフィスとしても一定の意義が認められますが、飲食業や製造小売の場所としては不向きです。

 そこで産業政策として以前個人質問でとりあげた「マーケット」の活用に加えて既存の空き店舗・空き家の、さらには公的不動産の有効活用を図っていく必要があります。
 これから始まる豊中市空き家マッチング事業は、空き家の活用に一定資する事業だとおもいますが、地域経済循環の促進という観点からは、さらに取り組むべき事柄があるのではないか。まず空き家等を活用して行われる事業そのものの自立可能性を高めるためのフォローが必要なのではないのか。また、市内には老朽化した小型商業ビルや、空き店舗などが多くみられるが、これらはマッチング事業の対象ではありません。これらを先ほどの基盤産業としての飲食業や製造小売り事業の強化、市外に流出している消費を市内での消費に置き換えるために活用するように事業を広げていくことはお考えでしょうか。

またこれらの課題の解決については以前にも取り上げましたリノベーションスクールの開催が有効と考えるが市の見解を改めてお聞きします。

(答弁)

3点のご質問にお答えします。まず、空き家を活用した事業への支援につきましては、現在、住宅課において「空き家マッチング支援事業」が進められていることから、情報を共有し、ビジネスに係る課題について整理してまいります。
2点目の、市内商業ビルや老朽化した店舗の活用につきましては、 チャレンジセンターにおいて、空き店舗活用などの相談を個別で対応し、内容に応じて商工会議所を始めとした支援機関につなぐなど、市内商業ビルや老朽化した店舗の活用について対応しているところでございます。
最後に、リノベーションスクールの開催についてでありますが、これににつきましては、先行の都市事例があることから、その実施方法や効果などについて今後調査研究してまいります。

7-2意見
空き家、空き店舗等は単に埋まればいいというわけではありません。地域経済循環に資する、そして地域の課題解決に資する取り組みとなるようにリノベーションスクールなども活用しながら取り組んでいただければと思います。
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また地域経済循環に資する基盤産業としての飲食業や製造小売り事業者育成の強化のためには、市有不動産の活用を図ることも重要と考えます。加えて市有不動産を公民連携事業に用い賃料収入等を得ることで、行政が負担している施設の維持費を賄うことのできる可能性も秘めています。一例として、昨年にもお尋ねいたしました千里中央公園、特に展望台付近の今後の活用について、公民連携事業によって、市外からお金を稼げる飲食業という基盤産業の育成の場として活用することはできないでしょうか。

(答弁)

都市公園は、一般公衆に広く開かれた公共施設であることから、民間事業者による公園施設の設置を無制限に認めるものではなく、専門性等の理由により公園管理者自らが設けることが困難なものや、当該公園施設が都市公園の機能の増進に寄与する場合などに限定されるものでございます。
公民連携につきましても、この前提に立って考える必要があり、公的不動産の有効活用を考える上で収益性も1つの要素ではございますが、第一義的には休息や運動、レクリエーションなど、公園の持つ役割、機能を最大限発揮させ、その魅力を高めることが必要であると認識しております。
千里中央公園展望台付近の公民連携につきましては、こうした認識の下、今年度実施した耐震診断・劣化診断の結果を踏まえて、今後検討する活用方策の中で、その可能性を調査、研究して参りたいと考えております。

8-2 意見
公園の魅力を高める取り組みに当たっては財源が必要であり、今後の財政状況を考えた場合、むしろ公民連携事業に取り組むことは時代の流れになってきていると思います。また公民連携事業だからこそ公園の魅力がアップできている事例も出てきています。次期通常国会で議論されるであろう都市公園法改正の動きの背景なども見据えられた上で、地域経済循環も意識した公民連携事業を千里中央公園という豊中市が誇りとする公園にて取り組まれることを要望いたします。
9 今回は地域経済循環を中心に質疑をいたしましたが、背景には今後の市財政に対する危機感があり、地域経済循環の改善を図っていくことは持続可能な市政運営に資するものと考えております。

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