六月議会個人質問

特定事業としての図書館事業について質疑を行いました。以下質疑の概要です。

1問目

特定事業としての図書館事業についてお尋ねします。豊中市では、平成22年(2010年)度に行財政改革の一環として「事業等の戦略的たな卸し」が実施されました。そしてこのたな卸しにおいて継続課題となった15件の事業を「特定事業」として選定し、見直しの検討を重ねた結果、平成25年(2013年)3月に『特定事業の見直しについて』をとりまとめ、特定事業の取り組みの具体的な工程、実施事項などを明らかにされました。

この特定事業の一つである図書館事業について何点かお尋ねしていきます。まず事業の見直しの実施・責任体制は具体的にどのようになっているか、お答えください。

(事務局長答弁)

図書館における事業の見直しにつきましては、平成25年3月に公表されました豊中市行財政構造改革本部による「特定事業の見直しについて」において、教育委員会が所管部局として中核市平均のコストをふまえた事業コスト等あるべき姿、およびその到達年度を明らかにいたしました。

目標に掲げた事業コストの削減、事業実施手法の効率化、施設配置の見直しについて、毎年、取り組み内容や進捗状況を確認するとともに、課題を洗い出し、目標達成に向けて、教育委員会が主体となり継続して見直しを進めています。

2問目

教育委員会を所管部局として、事業のあるべき姿、およびその到達年度を明らかにされたとのことです。あるべき姿の一つとして、事業コストについての記載があります。市民一人当たりコストの中核市平均は1667円、他方で当時の豊中市のコストが2631円であることを前提に、次年度である2020年度までに一人当たり2000円を下回るコストにすることになっているが、どのようなことを根拠にこの金額を決めたのでしょうか。

また、ご答弁では中核市平均を踏まえたとありますが、当時の各中核市の事業運営体制はどのようなものであったのでしょうか。事業運営体制の違い等でこの一人当たりコストは変わると思うが、こういった各市の状況を考慮したうえでの目標設定だったのでしょうか。

また当時中核市比較で豊中市が高かった要因はどのように分析していたのか。以上お答えください。

(事務局長答弁)

2000円を下回るという目標設定につきましては、全国のモデルとなる「学びのまちづくり」の実現に向けて、公共図書館と学校図書館の連携、市民との協働や地域の課題解決に向けた取り組みを推進するため、中核市平均を踏まえこの金額の設定といたしました。

また中核市の事業運営体制につきましては、平成23年度の調査によりますと、直営による運営体制のほか、指定管理者制度やカウンター業務および移動図書館車の運転・車両整備の委託を導入している等、自治体によってさまざまな運営体制をとっております。

金額の目標設定に際しましては、中核市全体の運営体制やサービス内容を十分把握したうえで、全国のモデルとなる「学びのまちづくり」の実現についても勘案し、図書館全体にかかるコストを総額で比較し、事業コストとして設定をいたしました。

中核市比較で高かった要因としては、市民のニーズに対応した特色ある図書館づくりをすすめてきたこと、他市と比較して図書館数が多いこと、また各図書館に職員を配置するため人件費の割合が高いことなどが要因と考えております。

 

3問目

当時、2631円だったコストにつき2000円を下回るものにするという方針を出すにあたり、何をどのように減らして実現しようとしていたのでしょうか。またその実現可能性についてのどの程度の検討がなされていたのでしょうか。

(事務局長答弁)

あるべきサービス水準・コストを実現する手法としまして、ICTを活用したカウンター業務の効率化や本市独自の考え方に基づいた外部活力の導入、さらには施設の複合化、多機能化なども視野に入れた今後の施設の戦略的配置などによるコスト削減をめざし、教育委員会として検討をすすめてまいりました。

4問目

ここまで、当時、数値目標設定にあたり市の内部でどのような検討をなされてきたのかをお聞きしてまいりました。この質問をするにあたり複数の関係者の方に実情を尋ねましたが、どうも何をどの程度見直すのか、そしてその実現可能性についての検討が不十分であったのではないかとは感じております。ですが市として数値設定をされた以上期限までに実現していただく必要があります。

ここからは図書館事業の見直しの現状についてお聞きしてまいります。平成23年当時の豊中市のコストが2631円でしたが、「特定事業の見直しについて」をとりまとめられた平成25年(2013年)以降の市民一人当たりコストの推移はどのようなものかお答えください。

(事務局長答弁)

平成25年3月時点では2631円、今年3月の進捗状況では2594円となっております。この間、一部業務の委託や常勤職員13名の人件費,約1億円等の削減を実施しましたが、一方でセルフ貸出機の導入などICT化の推進や施設管理費の上昇によるコストの増加もあり、ここ数年ほぼ横ばいで推移しています。

 

 

5問目

いまのご答弁で常勤職員13人分の人件費が減ったとありますが、他方で人勧や昇給による常勤職員の給料の上昇や一般職非常勤職員を代わりに増やしたことによる人件費増などがあり、トータルで見ると人件費縮減効果も少なくなっている状況があります。またこれまでのコスト推移について6年間の取り組みで一人当たりコストを37円削減されていますが、631円以上削減するという目標に対する達成度で言えばわずか5.8%であり、あまりに低い数字です。またこの間市の人口が3%以上増えていることにも留意する必要があります。さて来年度(2020年度)が事業コストの縮減を達成すべき年度ですが、どの程度経費を削減すれば達成できるのでしょうか。そのために市として事業経費の何をどの程度削減すべきと考えているのか。また実現の見込みはあるでしょうか。お答えください。

(事務局長答弁)

平成29年度の決算ベースでは2,594円であることから2000円を下回るには約2億3600万円の削減が必要となります。現在も目標に向けて取り組んでいるところですが、 2020年度の達成は困難な状況であると考えており、教育委員会としても重く受け止めております。しかし、目標については今後においても引き続き取り組みを進めてまいります。

 

6問目

期限までに目標数値を達成することは困難な状況でありそのことは教育委員会として重く受け止めているとのことです。どの程度困難なのかを知るためにも、現在の図書館ごとの運営コストを教えてください。

(事務局長答弁)

各館ごとのコストですが、雇用形態による平均単価による図書館での人件費推計を算出、 その金額にそれぞれの図書館の施設管理費を合計した金額として、分室等を含む岡町図書館2億7200万、服部図書館5200万、庄内図書館7200万、庄内幸町図書館1900万、高川図書館6000万、千里図書館8900万、東豊中図書館4800万、野畑図書館1億3500万、蛍池図書館6700万、となっております。

なお、全図書館および複数の図書館にまたがる図書館システムの運用経費などの予算も含め29年度決算におきまして総額で約10億5800万となっています。

 

7問目

先ほどのご答弁によると次年度までに2億3600万円の削減が必要とのことです。今のご答弁からして、あくまで例えばの話ですが服部図書館、高川図書館、東豊中図書館、蛍池図書館の4館を閉鎖すれば2億2700万円の削減ができ、特定事業見直しの目標がほぼ達成されることになります。既存9館のうち4館をこの1年間で閉鎖する。そのうえで図書館サービス水準を向上させることも同時に求められるわけですから、今までのような取り組みの延長で目標数値を次年度までに実現することは困難というよりもはや不可能であるということはわかりました。また繰り返しになりますが、現時点で目標数値に対してわずか5.8%の達成度となっております。これまで市の行革における様々な数値目標とその達成率を見てまいりましたが、ここまで達成率が低いのは珍しいと思います。

特定事業である図書館事業の見直しの実施責任主体は1問目のご答弁によりますと教育委員会であり、目標達成ができない点につき教育委員会トップの責任は極めて大きいと思いますが、この現状を踏まえて、今後のことをどのように考えているのかお答え下さい。

(事務局長答弁)

今後の目標達成に向けては、多様な雇用形態やI CTの活用による業務の効率化、外部活力の導入などを進めるとともに、今年度行います図書館のグランドデザインの見直しにおいても、館の充実だけでなくコストの視点も踏まえて検討いたします。

また、公共施設等総合管理計画および、令和2年度に策定予定の中央図書館基本構想をふまえ、施設の複合化や再配置等により、特定事業の目標達成に向け教育委員会として取り組んでまいります。

8 意見要望

もし、特定事業である図書館事業の見直しにおける目標数値の達成が不可能である現状を本当に重く見ているのであれば、教育委員会トップにお答えいただくのが当然であると私は思っております。

さて、いまお答えいただいたなかで、今後も特定事業の目標数値、すなわち市民一人当たりコスト2000円を下回るように取り組んでいくとのことです。このコスト制約の中で中央図書館構想を進めていくということは今この場でお約束されたと認識いたしております。ただ、到達年度についてはあえてだと思いますが明示されませんでした。令和20年かもしれないし、令和30年かもしれません。ここで期限をつけなかったということは、またずるずると引き延ばされてしまうのではないかという懸念もございます。長内市長は以前「今の時代、改革断行は当たりまえで論点でも何でもない。」これからは「創る改革」だとおっしゃっていたと記憶しております。しかし、こと図書館事業については誠に残念ながら、創る改革以前に、その当たり前のことができておりません。豊中市が行財政改革について後ろ向きであるとの印象を与えないためにも、行財政改革の一環で取り組んでおられる特定事業の一つである図書館事業の見直しの数値目標が期限内に達成できないことにつき、一定のけじめをつける必要があり、そのうえで最後のご答弁でご説明されたような今後の事業の見直しを進めるべきです。期限内に目標が実現できないということにつき、「できませんでした」でおわらせることなく、しかるべき時期に、しかるべき方が、しかるべき責任を果たしていただくことを要望いたしまして、大阪維新の会5番目の質問をおわります。

 

 

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