小1の壁 豊中市の小学校朝7時開門事業

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豊中市における「小1の壁」対策としての小学校朝7時開門事業の内容

今年度より豊中市において「小1の壁」への対応策として午前7時からの小学校見守り事業が開始されました。

いわゆる「小1の壁」というものが子育て支援の中で課題となっています。小学校進学に伴い、共働き家庭において仕事と子育ての両立が難しくなっています。

保育については現在、朝7時から施設に預けることが可能ですが、小学校に入学すると保護者が勤務時間の見直し・調整等をできない限り、子供を家に残して先に出勤するか、もしくは同時に家をでて子どもは小学校の門があくまで、学校の前で待機させるしかないという状況になりかねず、豊中市でも校門の前で児童が開門まで待機する状況になっている学校があるということで、子どもの安全という観点からの課題がありました。

そこで、今年度より、小学校を7時より開門し、新たに配置した各校2名の見守り員のもとで体育館等の見守り場所において見守るという事業を開始しました。なお対象は小1生に限られていません。

事業予算には約7000万円をかけており、利用料は徴収しておりません。

利用状況

1学期末時点での利用状況ですが、各小学校の実利用の1日平均は2.16人となっております。実利用の多い学校で1日平均8人程度、他方で実利用者が1学期ゼロの学校もありました。なお当該事業はモデル校で試行実施し実際のニーズを探ったり事前に保護者の利用ニーズ調査をしているわけではなく、本年度当初より全校で一斉に実施をしました。

このような利用状況を約7000万円の予算を投入する事業としてどう見るかは難しいところです。事業の性質上、利用を積極的に促進する類のものではなく、むしろ事業所の働き方改革を支援することで朝7時開門事業の利用者の減少を目指すことになります。

ただ、市が事業開始後初めて保護者アンケートを実施したところ、利用には安全確保のための保護者の付き添いが要件となっているが、この付き添い要件があるため利用できないという保護者がおられること、また夏休み等の長期休暇中にも利用したいという方もおられることがわかりました。市はこういった利用者のお声を受けて事業の見直しをしているところです。

働き方改革の推進

子育てしやすい社会の実現、こどもまんなか社会の実現はとても大切なことであります。このような社会の実現のためには社会における働き方改革の推進が重要です。1日の始まりである朝に親と小さなお子様の接する時間を確保できるようにするため、行政は事業所の働き方改革等が進むようしっかりとサポートするべきだと考えます。

報道によると神戸市東京都豊島区などでも豊中市と同様の取り組みが始まるとのことです。また各地の地方議会でも豊中市のような制度導入を求める声が広がっているようです。早朝開門が全国各地に広がっていくと、子供は7時に小学校に登校できるのだから、企業は働き方改革を進めなくてもよいということにならないか、という危惧もあります。

豊中市が取り組む朝7時からの小学校見守り事業は、社会の働き方改革が進まない中でのいわば対処療法といえ、「小1の壁」を壊すための本質的な取り組みではなく、過渡的な取り組みにすぎません本丸である事業所の働き方改革の支援を市として一層強化する必要があります。また事業所の働き方改革推進について市で取り組むには限界もあるので国、都道府県の事業所の働き方改革支援も急務です。

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