質疑の概要
(質問1)
①学校教育面におけるプール授業の法令上の位置づけについて、また施設設置面から各小中学校にプールを設置することは法令に基づく義務なのか、また授業時間数についても法令上どのように規制されているのかについて教えてください
②また教員採用選考テストにおける教員に求める泳力や指導力のレベルについては小学校、中学校でどのようなものを求めているのか
(答 弁1)
学習指導要領におきましては、小学校1.2年生では「水遊び」、 3.4年生では「浮く・泳ぐ運動」、5.6年生及び中学校では「水泳」領域として位置づけられております。
また、これらの指導につきましては、適切な水泳場の確保が困難な場合には、取り扱わないことができるが、水泳などに対する安全の心得については、必ず取り上げることと示されております。
次に、体育の年間標準授業時数は学年によって違いますが、90時間から105時間と定められております。そして、地域や学校の実態を考慮するとともに、一部の領域の指導に偏ることのないよう配当し、全ての領域の指導がバランスよく行われるようにすることと示されておりますので、よろしくお願いいたします。
大阪府豊能地区教職員人事協議会が実施しております教員採用選考テストにおきましては、小学校受験者には泳法自由の25mを、中学校保健体育受験者には、平泳ぎで25m,平泳ぎ以外の泳法で25mの合計50mを、水中からのスタート、スピード感、フォーム、呼吸の仕方を主な評価の観点として検査しておりますので、よろしくお願いいたします。
(質問2)
いまのご答弁からは一校に必ず一つのプールを設置することは義務付けされていないことを理解しました。また採用選考テストでは「スピード感」といった味わい深い表現からも、泳ぐことができるという状況の確認の意味合いが強いと感じました。次に①小中学校のプールの老朽化状況について概要をおしえてください。②また更新の実績内容について、ろ過機更新費用、プール槽の改修工事費用のこれ一回あたりのこれまでの金額の目安について教えて下さい。③また今後の老朽化への対策についてどのような方針で臨まれるか。プール躯体自体の更新時期はいつごろになりそうかも含めて教えてください④また他自治体では施設の長寿命化計画の関連で学校プールの設置運営コスト(LCC)を把握しておられるところもあるが、わが市ではどのようになっているでしょうか。
(答弁2)
①小中学校のプールの老朽化状況につきましては、プール本体が学校創立と 同時期に建設され、設置年数は学校によって違いますが、概ね約40年以上は経っており、一部の学校ではプール槽の防水塗膜がはがれたりするなどの報告が上がっており、全体的に老朽化が見受けられます。このことからプール槽及び付帯設備であるプールろ過機などは更新計画を作成し、順次改修を進めているところです。②更新費用等についてはろ過機の場合、設置場所や設置条件によって変ってきますが、約500万円~800万円になります。また、プール槽の改修工事費用についても内容によりますが、部分的な改修であれば約10~60万円、全面改修などの場合は約200万円~300万円の費用が必要となります。
③老朽化への対策については、更新計画に基づいて順次進めてまいりたいと 考えております。なお、今後著しいプール躯体自体の劣化や損傷などの報告があれば、検討してまいりたいと考えております。
④学校プールの運営コスト(LCC)については、年間の維持管理費が1校当り年間約80万円の費用がかかっておりますが、設置コストについてはプール躯体の耐用年数が定かでありませんので、想定しておりません。
(質問3)
ご答弁での更新改修費用について平成27年には、ろ過機更新の設計が7校あった。とすれば本年度工事に進んでもよいと思うのですが、今年度工事を行わない理由について教えて下さい。
(答弁3)
平成27年度(2015年度)ろ過機更新設計7校分における、平成28年度(2016年度)工事未実施については、想定以上に他の小中学校の補修工事等があったため、限られた予算の中で優先順位的を付けさせていただいたものでございます。
(質問4)
なかなか財政面での厳しさがあることを理解しました。なお参考までに他自治体においてプール設置に約2億円50年償却で年間400万円と維持コストで設置コストを考えておられるところがあるようです。次に南部地域で想定される小中一貫校については説明資料ではそれぞれに屋外プールがあります。小中一貫校について、プールについて今後どのような方針でのぞまれるのでしょうか。
(答弁4)
今年2月に公表した「魅力ある学校」づくり構想の資料には、校舎配置等の一例を掲載しておりますが、水泳授業の教育環境を整える必要があるため、いずれの案にいたしましても、基本的には一校地につき一つ、プールを整備し、水位調整等により小・中学校が有効に活用できるように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
(質問5)
他市事例においても学校プールについて泳力の向上、LCCの観点など様々な検討をしたうえでいろいろな運営パターンが出てきている。たとえば、学校と隣接する複合施設に温水プールを作り、学校も使う。また学校に温水プールを作り、授業以外では市民開放している事例もある。
また学校間でプールを共有したり、さらには民間プールにプール授業を委託するなどのケースもある。
わが市のことにもどれば、現在パブリックコメントの実施中である中期行財政運営方針(素案)の「はじめに」を少し長いですが引用しますと「ここ数十年をみてみますと、人口構成や、まちなみ、地域の様子は大きく変わっており、めまぐるしく変化する複雑かつ多様な社会においては、従来どおりのことを漫然と繰り返したり、古いものを単に新しいものに置き換えたりするだけでは、まち全体の価値を維持・向上することはできません。市民ニーズや地域課題をしっかりと把握し、いま直面している課題に対応しながらも、新たな発想をもって、中長期的な視点でそれぞれの施策や事業のあるべき姿を見据え、未来に向けたハード・ソフト両面の資源配分をしていく必要があります。これは、社会経済情勢が大きく変化するなかで、将来を見据えて、従来の行政サービスの手法や考え方を新たなかたちに変えていくという取組みといえます。単なる歳出削減のための改革ではなく、市民サービスの向上やまちづくりの推進を図るための改革を進めていかなければならないと考えています。~中略~豊中市長 淺利敬一郎」とあります。庄内温水プールの閉鎖されたことなども考えると、各校に一つ学校専用の屋外プールを作るということありきで考えるのではなく、先ほど申し上げたような手法も含めてより広い観点で検討すべきと考えますか、いかがでしょうか
(答弁5)
教育委員会といたしましては、教育環境の充実の観点から、水泳授業等で使用するプールは、安全かつ円滑に実施できる校地内に整備することが望ましいものと考えております。 現時点において、温水プールの整備等は検討しておりませんので、よろしくお願いいたします
(意見)
学校プールについては高度成長時代の潤沢な資金で日本では一校一プールの流れができています。そしてこのプールについて、今はあるものをできるだけ長寿命化していくスタンスですが、ろ過機の更新でさえ財政上後手に回っていることがわかりました。これを機に資産活用部とも連携をしてプールという市有施設のマネジメントについてよく考えていただきたいという思いを一層強くいたしました。 南部で想定される小中一貫校については先ほど中期財政運営方針素案のはしがきを紹介しましたが、各学校に一つといったことを当然の前提とするのではなく、今回お尋ねしたこともふくめてコストや教育効果など総合的に検討したうえで決めるべきであると考えます。
ご答弁では教育環境の充実の観点から、水泳授業等で使用するプールは、安全かつ円滑に実施できる校地内に整備することが望ましいとのことですが、ご答弁にあった教員採用選考テストでは指導という側面では必ずしも十分な検査が図れておらず、先ほどご答弁にあった充実した環境の中でどの程度の充実した授業がなされるのかは別問題だと考えます。たとえばある民間委託にした自治体でのアンケートによると水泳指導のプロによる指導があり泳力向上に満足度高い。また他市ではいわゆる行革の事業見直しで「プールのありかた」がテーマになることもあります。わが市でもこの機会にぜひプールのあり方について検討していただくことを要望します。